Intelが、デスクトップPC向け電源規格「ATX12VO」の第3版となる「ATX12VO V3」を計画していることが、リーカーのmomomo_us氏が公開したIntelの社内資料で判明しました。コネクターの小型化や待機レールの廃止に加え、サーバーで使われる電源監視機能への対応が盛り込まれています。
ATX12VO V3でコネクターを小型化し電源監視機能を追加
ATX12VOは2020年にIntelが策定した電源規格で、電源から12Vのみを供給し、3.3Vや5Vへの変換をマザーボード側に任せることで電源回路を簡素化する点が特徴です。この変更によりコネクターも従来の24ピンから10ピンへと小型化されましたが、対応する電源やマザーボードは限られ、自作PC市場ではほとんど普及せず、OEMの完成品PCや法人向けPCでの採用が中心となっています。
ただ、普及が進まない中でもATX12VOは2022年にはATX 3.0と同時にV2へ更新され、PCIe 5.0世代のグラフィックカードへの対応などが追加されていましたが、さらな新たにATX12VO V3ではコネクター形状含めた大幅変更が計画されているようです。
待機レールを廃止しアイドル時の電力効率を改善

ATX12VO V3では待機(スタンバイ)レールが廃止され、主電源の12Vレールが常時稼働する仕組みに変わるとされています。Intelによると、これにより電源設計を簡素化しながら、特にアイドル時や低負荷時の効率を高められるとのことです。また、安全性と効率を考慮した「Low Power」「High Power」の2つの動作モードも新たに用意される予定で、同社の社内テストでは従来の24ピンで用いられているマルチレール構成はV3のリファレンス機と比べてアイドル時で約1.29倍、ベンチマーク時で約1.12倍の電力を消費したと報告されています。
主電源コネクターを8ピンに小型化
コネクター形状も見直され、現行の10ピンからさらに小型の8ピン(3mmピッチ)へ変更されるとのことです。Intelはこの新コネクターについて、汎用ATXの24ピンと比べてサイズを最大83%削減でき、CPU用のコネクターも3mm化することで最大51%小さくなると説明しています。この変更によりマザーボードの実装面積や材料費を抑えられるため、小型デスクトップやOEMシステムでの基板設計がしやすくなります。
サーバー由来の監視機能PMBusに対応
電源とシステム間の通信機能も強化されます。新しい8ピンコネクターにはサーバーで一般的な通信規格PMBus(Power Management Bus)用のピンが4本(オプション)追加され、電圧や電流、温度、電力供給の状況を細かく把握できるようになります。さらにI_PSU%信号にも対応し、電源の使用率をリアルタイムでシステムへ伝えられるため、定格容量に近づいた際の急なシャットダウンを防いだり、構成に見合った容量の電源を選びやすくなったりします。こうした監視機能はもともとサーバー向けの仕組みで、データセンターやOEM用途での採用を後押しする要素となります。
IntelはこのATX12VO v3については6月2日から5日に開催されるComputex 2026での発表が見込まれていますが、コネクター形状が再び変わるV3では、V2までのATX12VO対応マザーボードや電源との互換性は失われるため新しいPCでの採用に限られるほか、自作PC市場では現行ATX12VOと同じく普及が進まないと見られています。
